インタビューも掲載されたことですし、この間FBで懐かしいDeath By Degreesの話題が出たので、せっかくだから掘り起こしておきましょうか。
Death By DegreesはPS2プラットフォームで、定番格闘ゲーム「鉄拳」の人気キャラ、ニーナ・ウィリアムス(Nina Williams)を主人公にしたスパイもの、いわゆる格闘あり、武器使用ありで、プレーヤーはニーナを操ってゲームを進めていく「三人称視点アクションゲーム」でした。
投入された開発者の人数も当時としては最大級で、現在の規模から見ても「超大作」に間違いないのですが、サウンドは中村本人の意向で中村一人(!)。効果音からBGM、ボイス加工、カットシーン音声作成(いわゆるMA)などすべてを一人で担当した最後の作品になります。
というか、もうこの地点で効果音やボイス、BGMの数が半端無くなっており、現在の大作ゲームをBGMから効果音まで一人で担当するのはそもそもムリ!です。タイムクライシス時代の何倍もの量です。思えば無茶したなあと。この後中村は音楽制作の方に徐々にシフトしていき、今ではほとんどの作品で、音楽制作のみ担当するようになっています。
本作はサントラCD(本稿のアイキャッチ画像がジャケ写)も発売されましたが、収録曲数は44曲です。効果音もボイス加工も組み込み確認もするとなるとほぼ中村の限界値まで到達しました。今聴くと10年前の作品ですから、音源がやっぱり少ししょぼい。ただ、サウンド&レコーディングマガジンでもお馴染みのKIM Studioでミックスしてもらったお陰で、当時としてはクオリティの高い音質だったと思います。
あ、ちなみサントラに収録されてる「ラナ・レイ」は現モナカの高田龍一君がバイオリンソロを弾いてくれました。ほんとに上手いんですよ。彼のバイオリン。・・・唯一の外部ミュージシャン起用(笑)。
イメージはオーケストラとパーカッションメインのオケにヘビーロック・ギターを加えたゴリゴリのサウンドですが、これが当時はアンプのスピーカー使ってないんですね。仕入れたばかりで、現在もヘビーロックサウンドでほぼ100%使用しているMesa BoogieのRoad Kingという4chヘッドアンプから、今も所有してて、でも使ってない独Palmer社のスピーカーシミュレーター「PGA-04」を使ってヘッドアンプは真空管、それをスピーカーシミュレーターでラインレベルに変換してPro Toolsに送ってました。ライン録音なので空気感は出ないですが、狙った音は出しやすかったと記憶しています。
現在は2005年当時よりテクノロジーが発展していて、公平に見たらやはり最新作のTime Crisis 5の方がより「らしく」仕上がっていますが、この当時のテクノロジー発展段階特有の勢いの良さは今自分で聴いてみても興味深いです。
YouTubeにたくさん動画が上がっていますので、よろしければご笑覧ください。ただ、海外制作のトレーラーは中村の曲ではないものもあります。ご注意を(笑)。
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