えー、更新をさぼりまくって全然実稼働していませんでした。本当にすみませんでした(m_m)
心を入れ替えて今後はがんばります。さて、気を取り直して・・・
Time Crisis is back!
アーケードゲーム「Time Crisis 5」のBGMを担当しました。2015/03/11から各店舗で稼働するそうです。
Time Crisisシリーズは中村にとっても思い出深い、代表作の一つです。業務用およびPlaystation1/2用に開発された「Time Crisis」「Time Crisis 2」は共にBGM、効果音から声優さんの収録まですべて中村が担当させて頂きました。
初代Time Crisisに関わった時のことは今でもよく覚えています。プロジェクトを一本終えて一息ついているところに、当時の上司であった川田 宏行さんから「新しいプロジェクトあるんだけどやる?」と言われ、キャリアも浅く、とにかく仕事がしたかった中村は、「はい」と答えてプロジェクトに行ってみたら・・・「俺たちはガンシュー(ガンシューティングゲーム)を作りてえんだー!」という血気盛んな10名程の海賊、いやメンバーが集まっていました・・・。
サウンド担当は、駆け出しのぺーぺーだった中村一人。「大丈夫かしら・・・」と思いながらもメンバーの熱い思いに後押しされ、例の銃声や、例のBGMなどを作っていきました。業務用は「基板音源」などと言われた、ゲームシステム上に用意された、独自の音楽再生システム用に、効果音や台詞、BGM用の音源を用意して、システム上でのみ動作する独自フォーマットで音楽データを打ち込んでいくという、今となっては懐かしいけど、二度とやりたくない(笑)制作方法でした。
まだ珍しかった、ハリウッド系の効果音ライブラリから銃声とかを引っ張ってきたり、素敵な外国人声優さん達の収録をスタジオで行って加工したり、いろいろな工夫をしました。当時の音源の容量は32Mbit(Byteではない)が一般的だったのを、企画担当と交渉して48Mbitにしてもらったりもしました。BGMには当時リクエストが増えつつあったものの、あまり誰もやっていなかった「ハリウッド系オーケストラ」を求められ、サントラを聴くことから始めたのもこの頃です。(初代Time Crisisはエージェントが捕らわれのお姫様を救出するというストーリーだったので、ルパン三世ぽいものにしようと思っていたのですが、あっさり却下でした)
そしてTime Crisis 2でもプロジェクトチームはほぼ同じメンバーのまま継続され、例の二人のプレーヤーが協力するチームプレイが確立されます。この時は初代が売れたこともあり、プロジェクトはより一層気炎を上げていました。中村も、特に銃声にこだわりのあったプロジェクトを納得させるため、1週間丸々費やして銃声を作ってはやり直ししたりしていました。BGMも初代のモチーフを使ってアレンジし、前作との継続性を表現したり、まあ映画的な手法を随所に取り入れる試みを行っていました。
その後、Playstation、Playstation 2に移植され、「基板音源」ではない、CDクオリティのアレンジを行ったりもしましたが、3作目となる「Crisis Zone」を最後に、会社の方針でTime Crisis 3以降は別会社が制作を担当することになり、中村も二度とTime Crisisシリーズに関わることはないんだろうなあ・・・と思っていました。
が・・・昨年突然バンダイナムコスタジオのサウンド担当者からお呼びがかかりました。新プロジェクトなのはわかっていましたが、まさかのTime Crisis 5です!驚いたのなんの。担当者曰く「初代、2を担当した中村さんがベストではないかと思って」と。離職して何年も経つのに、本当に有り難いことです。謹んでお受けしました。
そして制作を始めてしばらくして、はたと気がつきました。「新曲だけじゃダメじゃね?」恐らく、新しいTime Crisis 5をプレイされる方の中には、かつて初代や2をゲームセンターで熱くプレイした経験者もたくさんいらっしゃるに違いない。彼らにとって、Time Crisisのテーマ曲はとても重要だったことは昔聞いていました。なのに、しかも初代と2を担当した中村が再登板するのに、全部新曲は違うよね・・・と。
そこで担当者と相談しまして、一曲まずはステージ1の通常戦闘曲を、往年のテーマを今時の音、今時の芸風でアレンジしてみることになりました。結果はOKでした!調子に乗って、当時のワイルドドッグのテーマやTime Crisisの「メインテーマ」も盛り込んでみました。こちらもOKで採用になりました。なので、今回のTime Crisis 5には当時のTime Crisisのモチーフがたくさん使われています。もちろん新曲もあります。結果的にいいバランスになった、と感じています。
楽曲の工夫で言うと、ハリウッドでお馴染みの大人数パーカッションを当てることができるようになったこと、当時は望むべくもなかった、高品位なオーケストラサウンドが出せるようになったこと、これまた当時はなかなか使いたくても使えなかった、ヘビーロック系のギターサウンドを駆使できるようになったことでしょうか。バッキングギターはGibson ’93 Les PaulとCrews Ab’s 7、アームプレイはValley Artsを主に使用しましたよ。
ゲームセンターでプレイして「おっまさかのあの曲じゃん!?」と思ってゲーム共々楽しんで頂ければこんなに嬉しいことはありません。まさかのTime Crisis is back!、ぜひお楽しみください。
この記事へのコメントはありません。